万年地域
北海道十勝平野の北部にある地域。小麦、豆、ビートを主要作物とした農村地帯。高倉、万年、鎮錬の3地区によって構成されている。
1990年5月、高野ランドスケープと我々象設計集団はこの地に移転してきた。
祭の始まり
「久々に豊年万作祭をやりたい」地域の仲間から相談を持ちかけられ、2002年夏の豊年万作祭開催が決まった。様々な準備が進む中、会場づくりをワークショップのプログラムとしていくことも決まっていった。
我々の呼びかけに応募した参加者24名。全国の各地からこの小さな地域に集まった。
農家力-1
農村地帯の万年では様々な機械や道具が身近にある。アースドリル、ユンボ、トラクター、ダンプ、ユニック---。農家が数軒集まるとこれらの機械がすぐに集まる、しかもタダで。
2002年8月17日 祭当日
人が集まってくる、バンドが始まり、屋台街からはいい匂いと共に客引きの声が聞こえてくる。この日のために作成したのぼり5旗、以前の祭の時つくったものが5旗。のぼりと小麦ロールのアプローチを抜けるとそこが祭の会場。緑のウォールで囲まれ、クマザサや麦藁でお化粧された屋台やお休み所。敷地内に建つ万年地域会館の中では身障者プロレスが催され観客が声援を送っている。屋台街に設置されたミニステージ場ではマジックや太鼓の演奏が行われる。小麦ロールの上で遊ぶ子供たち。緑のスクリーンを背負ったメインステージは昼の顔。地元の人達の踊りやフォークダンス、我々も参加している鎮錬バンドの演奏で大いにわいている。
小麦ロール みんなでフォークダンス 屋台 お休み処は酔いどれ処
どっぐれっぐす マジック 懐かしいメンコ 夜の風景
Barも大盛況 舞台が抜ける? 踊る! C'est Formidable!
十勝・夏のワークショップ
過去7回、高野ランドスケープの仲間とワークショップを行ってきた。広い十勝に越してきて、「フィールドはいくらでもある。何かしよう!」「地域をもっと知りたい」などの思いから始まった。
初年度は鎮錬神社の公園化の第一歩として、「まいまい井戸」掘り。ただひたすら人力で穴を掘る。毎日毎日掘りつづけた。それ以降も鎮錬神社を舞台にワークショップは続いた。1994年からワークキャンプの最後の2、3日で豊年万作祭の会場づくりを行ってきた。
前回の祭から会場を鎮錬神社から万年グランドに移している。鎮錬神社は鎮守の森に囲まれたちょうど良い空間とスケールを持っていた。
広い万年グランドを、人が集まり楽しく過ごすことができる場とするためのスケール、空間、素材を考えることが今回はテーマとなる。

真剣
線引き ウォール 真剣 なんかうれしい
夜作業の幕開け 棟梁ありがとう
夜もばりばり
頑張るお針子隊

高倉に住む浪波さんの森。広葉樹を主体とした2次林である。その昔、燃料のため薪を切り出したり、炭焼きに使用していたが、今では手の入っていない森だ。
森として成長していくように整備し、発生した間伐材は祭の会場づくりに利用する。
ポスター 降ってくる---
身体のスケール
自分の身体に存在しているスケール。例えば自分の一歩の距離、手を広げたときの右手と左手の距離、肘から指先の長さ。「この机の高さ丁度いいな」「この部屋の広さはどれくらいだろう」「このぐらいの高さの天井って心地よい」---コンベックスで測ればミリ単位までわかる。しかし、自分の感覚を、その数値としてどれぐらいわかっているだろうか?身体に数値をたたき込もう。
森林整備
木を倒す
森林整備
ロール ロール いたどりで緑の壁
建て込み 建て込み 建て込み まだまだ やなぎ いたどり
サッカー
ブラインドホールドウォーク
五感、感覚
ブラインドホールドウォーク---視覚を閉ざすことにより、触覚、聴覚、嗅覚が鋭くなる。日々どれだけ視覚に頼った生活をしていることか!眠っていた感覚を呼び戻そう。
ブラインドホールドウォーク
発見の旅
発見の旅
発表
道具
小さな道具も日常にある。チェーンソー、インパクトドライバー、丸ノコ、シノ(番線まわし)、カケヤ、測量器。
豊年万作祭
1994年、万年地域の人達とはじめた祭、豊年万作祭。1994、1995、1996(多忙のためコンサートに変更)、1997年と行った。今年は5年ぶりである。
会場設営の材料は周辺で調達できるものを使う、重機などがすぐに集まるのも農村地帯ならでは。小さな地域の祭ではあるが、広く帯広、札幌、東京からの参加がある。会場づくりは毎回、ワークショップの参加者と地元の人々と作り上げてきた。1994、1995と鎮錬神社が祭の場となっていたが、1997から万年グランドに場を移した。このグランドは我々「十勝サーカスサッカー部」のホームグランドとして、また地域の運動会の会場として利用されている。
森の説明 搬出 200本!
ミーティング
会場プラン最終形
小麦ロールやコンパクトは、普段は牛や馬の寝藁に使われている。 ヤナギは川辺や水路脇に無尽蔵に生えてくる。挿し木で簡単に根付くくらい生命力も強い。イタドリも手軽に得ることができる植物。
身体スケール 身体スケール のぼりのアプローチを抜けると今度は小麦ロールがお出迎え。その先に祭の会場がある。 地域会館内で行われた身障者プロレスの興業。
柱の建て込みは人力で行う。バランスを見ながら、固定していく。 屋台街では小ステージを中心にマジックや漫談、パッチ(メンコ)の大会などが行われる。
まだ試作の段階。
Bar Moulin Rouge
ワークキャンプのはじまりはサッカーから。明日からは祭の会場設営が始まる。
ハレとケの境界をやんわりと仕切る緑のウォール。 実行委員会、参加者ともどもご挨拶。
試行錯誤の中、生まれた梁。箱形で中が中空なため丈夫だが軽い。 アースドリルで掘られた穴。深いモノでは2m位の穴を掘った。人力で掘ったら半日仕事! 観客を大いに魅了したフレンチカンカン。
会場のアプローチを飾る「のぼり」お針子班や看板班も結成された。
机上から原寸世界へ
試行(思考)錯誤を繰り返して図面を描く。メインステージは、現地で図面をにらみながら位置を決めた。それを起点にアプローチ、屋台街、BAR、ステージ前の広場の大きさ・位置などをグランドに石灰で描いていく。そして、その上に骨格を組み立てていく、ぼんやりと空間が見えてくる。
強度検査?
組み立て 屋台
組み立て
材料
地元(地域)で容易に手に入り、加工しやすく枯渇しない材料。時間がたてば土に帰っていく。間伐材、ヤナギ、イタドリ、小麦ロール、クマザサ、大きな フキの葉---安価あるいはタダ。
ステージには学校の教壇が使われている。
会場づくり-1
例年、天気が読めないこの時期、今年の祭ははじめから「雨は降る」ものとした。会場のメインステージ、最も我々の頭を悩ませたのが雨天対策とそのための構造である。ステージ自体も、例年の倍の広さである。間口10.8m奥行5.4m。強度があるだけでなく、組み立てが簡単、そして軽やかでステキなモノでなくてはならない。
ふぉとじぇにっく 座り心地ばつぐん あさやん あきらさん
緑の木陰 ボヤージ
緑のウォールの上から 投げ銭ガール 鎮錬バンド最高でした 屋台街
全貌が----何となく
のぼりが増えました 雨は降らなかった
夕暮れ時、屋台街にも灯りがともり、アプローチのトーチにも火が入れられる。ほろ酔い気分の大人達がBarのまわりにたむろする。屋台からは笑い声や客を呼ぶ声が絶え間なく聞こえている。メインステージは夜の顔に衣替え。オレンジ色に輝く大きな太陽を3つ背負って、ジャズやロックの演奏が聞こえてくる。リズムに乗せて老若男女が踊り狂う。ステージのフィナーレはフレンチカンカン。「セ・フォミダ!(すばらしい、すてきの意)」のかけ声に合わせてダンサー18名が踊る。
パーティ
真剣
レベルとるのも大変です 頑張る看板班
屋台から舞台へ
夜ステージ
夕暮れ
パーティ直後のスタッフミーティングの様子。地元の若者も含めて、人員配置・機械類の手配も行う。
穴掘り
建て込み 建て込み
建て込み
整備後の森。枯損木を整理し、主要な木に光が十分当たるように木を切り出していった。光が入ることで、高木は太く大きく成長し、下草の植生も多様化していく。
沢沿いの森であったため、切り出した木の搬出は人力で行った。材をかついでの斜面の上り下りは予想以上にきつい。 祭前夜
灯りがともり、そこら中から作業音がきこえる。突貫工事の夜は更ける----
間伐材、200本以上。全て祭の会場づくりに活用された。祭りの後は薪として再利用された。
自分で持っているいろんな寸法を知る。空間を把握するためへの第1歩。
発見の旅
万年地域を歩く。自分がどこにいるかは手元にある地図でしかわからない。歩くスピードだからできる発見。出会う人々の顔。
万年地域 1994 豊年万作祭
1994 豊年万作祭
農家力-2
農家力は重機だけではない。ちょっとした倉庫なら自分たちでつくってしまう人も少なくない農家の人達の技術や機動力。
---そして圧倒的な、花火。
会場づくり-2
屋台のユニット、屋台街を構成していく最小単位。簡単、丈夫、移動しやすく---切り出してきた材を目前に現場で構造・作り方を考える。原寸模型というところ。
目指したモノ・空間
一言で「祝祭の空間」とはいうが、一体どんな空間なのか?コンセプトワークからプランニングなど話し合いや検討作業は続いた。「摩訶不思議な空間であること」「同時多発的に何かが起こる多様な空間であること」「密度の高い空間であること」これらが唯一、我々の共通事項であった。
小麦のロールやコンパクトはベンチとして、子供たちの遊び場として大人気。
このロールやコンパクトは祭の後、自分でも馬を持っている高野ランドスケープの社長に引き取られていった。
屋台やお休み所、ステージに使われた間伐材も薪ストーブ愛好家や祭に来たお客さんに引き取られていった。 変わり種の屋台。帯広のプロの美容師さんによる髪切り屋。大盛況だった屋台の一つ。
直径22mの円形広場。みんなで広さを確認する。
投げ銭ガール。舞台の出演者達の出演料は投げ銭のみ。
地元のバンド鎮錬バンド。我々も参加している。
夜の背景は、11本の掛け軸状の障子紙に分割して描かれている。
モチーフは「男はつらいよ。第21話」で木の実ナナ扮するダンサーが踊るシーンの背景。イメージは「万年パラダイス」。
来場者を会場まで誘う、のぼりのアプローチ。夜はトーチの灯りが浮かび上がる。
Welcome Party 参加者とスタッフや地元の人達との顔合わせ。